ドヴァーラヴァティー王国は,ナコーンパトムやウートーンなどチャオプラヤー流域を中心に6世紀から11世紀にかけて栄えたモン族の王国である。その勢力はタイ東北部まで及んだ。中部タイにしろ東北タイにしろドヴァーラヴァティーの遺跡はいずれも海運,舟運に適した場所にあり,ピューが農業的志向性をもち,内陸に立地しているのとは様相がかなり異なる。
貿易にはピューと同様銀貨が使用されており,中にはピューの銀貨と酷似したものがある。
ドヴァーラヴァティーでは,吉祥天(ヒンドゥー神話のヴィシュヌ神妃)の館を表現したと考えられるスリーヴァッサ(srivatsa) という文様や sankha と呼ばれるほら貝,kalatha と呼ばれる聖なる水を入れる聖水壷,雄牛,旭日,八弁花などを刻んだ銀貨を発行していた。裏面に共通したスリーヴァッサのデザインは,南インドのサータヴァーハナ王朝(前3~後3世紀)で2世紀に発行された貨幣にその原型を見出すことができる(Gutman, 1978)。ナコンシータマラート,チャオプラヤー流域,オケオなどでは,二分の一,四分の一,八分の一に平ノミのようなもので切断された旭日銀貨が見つかっている。対価物の価値に応じて銀貨が切り分けられていたと考えられる。銀貨の鋳造は支配者階級によって統制され,私鋳については,腕を切り落とされるくらい厳しく禁止されていたという。
ちょうど日本にドヴァーラヴァティー人たちが訪れた時期に,ドヴァーラヴァティーは西方文明をさかんに移入しており,日本で銀貨が発行されるに至ったのは,中国銭とは異なる東南アジア銀貨や東ローマのコインをドヴァーラヴァティー人たちがもたらしたためと考えられている。
古代ドヴァーラヴァティー王国の貨幣


表面はダマル,裏面はスリーヴァッサ. 銀 34.4 mm 10.66 g
ダマルの上に5つの聖具,基底は水平.スリーヴァッサの中に9個の小瘤


表面はダマル,裏面はスリーヴァッサ. 銀 17.9 mm 1.98 g
ダマルの上に複雑な5つの聖具,基底は水平. スリーヴァッサの中に9個の小瘤


表面はユパ,裏面はスリーヴァッサ. 6世紀 銀 10.2 mm 0.30 g
スリーヴァッサの中に飾りはない


表面はユパ,裏面はスリーヴァッサ. 6世紀 銀 9.3 mm 0.42 g
スリーヴァッサの中に飾りはない


表面は法輪(輻は7本),裏面はスリーヴァッサ. 6世紀 銀 7.7 mm 0.37 g
輻は14本,12本,7本のタイプがある.スリーヴァッサの中に飾りはない


表はホラガイ,裏はスリーヴァッサ. 6~11世紀 銀 18.7 mm 1.53 g
日本の銀貨の原型は、銅銭とは異なり中国からではなく、タイ人の祖先が日本にもたらしたもののようである。
このような古代の貨幣はタイの古銭商ではなかなか見つからなく、欧米、特に米国の古銭商を当たらないと見いだせない。
世界にはいろいろな貨幣があるんですね!
私、貨幣が好きで半分コレクターみたいになっちゃってます(笑)
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僕は子供の頃から昆虫や切手、化石、鉱物など蒐集癖があり、そのうちのひとつが昔のお金です(笑)
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こんにちは!コインのリサーチをしている中で、このブログに出会いました。ドヴァーラバティーのコインの日本人のコレクターに初めて当たりました。私も同じ分野のコレクターです。アメブロで「アジア古代コイン」のブログを投稿しています。hirame-hkのハンドルネームです。良かったら訪問してください。
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素晴らしいコレクションされてますね!
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