ランチャン Lancang は、ラオスに国境を接する中国・西双版納のタイ族の言葉で「百万頭の象」という意味である。ランは百万、チャンは象。ランチャン川(メコン川)は、ラオスの高原部から平野部を流れ、ラオスとタイの国境線上を流下し、カンボジアの平原を貫き、さらにベトナムを横断して南シナ海へ流れている。
ランチャン王国は、ランチャン川の流域に興った。1353~1592年頃に最も繁栄したこのタイ族の王国は、現在のラオスのルアンパバーン、ビエンチャンおよびタイ東北部のサコンナコン、ウドンタニ、ウボンラチャタニを含むメコン川流域に広がっていた。
ランチャン王国の中心が1530年頃、南部からビエンチャンに移り、この頃から「Hoi」と呼ばれる貨幣が造られ始めたとされている。この貨幣は、虎の舌に似ていることからTiger Tongues「虎舌銭」あるいは「虎舌丁銀」と呼ばれている。
前回は、ランチャン王国の「ヒル貨幣」について紹介したが、今回は「虎舌銭」について紹介したい。
古代ランチャン王国の「虎舌銭」、別名「虎舌丁銀」ともいう

王国の中心がビエンチャンに移った頃から造られ始めた「虎舌銭」 16~18世紀 118.6 mm 101.45 g
刻印は3頭の象 銀 1.5 tamlung = 6 バーツ

王国の中心がビエンチャンに移った頃から造られ始めた「虎舌銭」 16~18世紀 120.0 mm 119.21 g
表面の彫刻は、溶かした銀の上に生きている蟻を落とし、蟻のもがきによって造られた、という伝説がある
刻印は3頭の蛇 “Na” 銀 1.5 tamlung = 6 バーツ

刻印は3頭の蛇 “Na” 123.6 mm 123.9 g 銀 2 tamlung = 8 バーツ

刻印は3頭の蛇 “Na” 109.1 mm 93.0 g 銀

刻印は無し 120.0 mm 103.6 g 銀 1.5 tamlung = 6 バーツ
前回は 古代ランチャン王国の「ヒル貨幣」を紹介しました。