チェンマイの旧市街のほぼ真ん中に建つ巨大な廃墟寺院「ワット・チェディルアン」
寺院が建てられたのは14世紀後半で、ランナー王朝の第7代目の王が、亡くなった父親を偲んで建立したと伝えられている。この巨大仏塔は、仏教で神聖な動物とされるゾウが仏塔を支えている。
仏塔は高さ約86mの高さを誇っていたが、16世紀の大地震で半壊したが、崩れながらも空高くそびえる仏塔は胸に迫るものがある。

本堂の奥にあるご本尊。ランナー王朝の都が置かれたチェンマイは、「ランナー文化」と呼ばれるタイ北部独自の文化・伝統を生み出したが、この仏像にもランナー様式を見ることができる。ランナー様式の仏像は、丸みを帯びた柔和なお顔が特徴である。
巨大な黄金の仏像はとても神々しく、たいへん神秘的な気配に満ちている。金色は人々を喜ばせる色で、輝きは迷いを除き、願をかなえるためのもの。タイ北部で独自の文化をはぐくむチェンマイには美しいお顔の仏像が多い。

地震で崩壊した大仏塔は1990年代に修復が行われ、現在の姿になった。大仏塔が完全に復元されていないのは昔の記録がないためである。イメージで完璧に元通りになった姿を見るよりも、過去の栄華を想像して楽しむ方がいい。2020/2/14